まどマギTDSと併せて読みたい作品 その1


個人的に『魔法少女まどか☆マギカ 〜The different story〜』と併せて読みたい、読んでいただきたい同人漫画のお話。
魔法少女まどか☆マギカ 〜The different story〜』(以降『TDS』と略します)は、あとがきで作者のハノカゲさんも書いている通り、『まどか☆マギカ』本編では描かれることのなかった、巴マミ佐倉杏子巴マミ美樹さやか暁美ほむら佐倉杏子……等といった、数組の魔法少女コンビやトリオの可能性(実際、こんな時間軸もあったのでしょうね)、その活躍やそれぞれの関係性が描かれているのが大きな魅力となっている公式スピンオフ作品です。
上巻で描かれていた巴マミ佐倉杏子のコンビはアニメでは描かれてはいませんがDVD/BDの特典ドラマCD『フェアウェル・ストーリー』でその馴れ初めから別離までが語られており、PSPのゲーム『まどか☆マギカポータブル』でも触れられていた関係でしたが、中巻で描かれた巴マミ美樹さやかのコンビ(鹿目まどかは契約していない)というのは完全に新規に描かれた関係性であり、アニメではついぞ実現しなかった夢のコンビが遂に描かれたと言えるでしょう(いや殆どの組み合わせが夢のコンビなんですけれども)。
今回はその巴マミ美樹さやかのコンビ、業界用語で言うところのカップリングの「さやマミ」を専門に扱った合同誌、サークル「のりのり製菓」さんの『ブルーハワイレモネード』の紹介です。

ブルーハワイレモネードはサークル「のりのり製菓」さんがC82、第82回コミックマーケットで頒布したさやマミ合同本です。年齢制限はない本ですが、リンクしたpixivのサンプルにもちらっと映っている通り、キスシーンなどは掲載作品によっては描かれております(さやマミは2人並ぶとさやかの方が背が高いというのがいいですよねー。ちっさい先輩とおっきい後輩萌え)。
参加の作家さんは、海苔せんべいさん、ESさん、はやかわトリノネさん、zxuさん、ざわめきさん。
アニメ本編でも描かれたように、先輩のマミさんを些か大きすぎる理想を持って慕うさやか、それを嬉しく思うマミさん、というような関係性をベーシックに、作家さんそれぞれの思い描くさやマミが、愛情たっぷりに紙面に炸裂しております。
どの作品も素晴らしいさやマミなのですが、今回はTDSと併せて読みたい作品というテーマに沿いましてその中から一遍、zxuさんの『愚者と偶像』を取り上げさせて頂きます。

魔法少女としての理想像として心酔し、マミを神聖視していたさやか。正義の味方であることににある種強迫観念的なまでに固執していた彼女が、巴マミもまたただの一少女でしかなかったと知ったときどうなるのか。ほろ苦い師弟愛です。

(pixivでの紹介文より)

『愚者と偶像』は上記の説明の通りの内容の漫画、なの、です、が……、はいっ、『TDS』中巻を既読の人はお分かりですね。これは何の前提もなしに読んで「『TDS』のさやマミの説明だよっ」て言われたらそのまま信じてしまえるような文面です。アニメ本編で描かれた2人から導き出される関係として当然の帰結ではあるのかもしれませんが、この『愚者と偶像』と『TDS』は同じテーゼに挑んだ作品なのです。そして先のリンク先から『愚者と偶像』のサンプルを読んだ方はお分かりの通り(未読の方は今すぐその5Pをお読みください!)、同じテーゼを描いていながら、さやかとマミの置かれた状況が決定的に違う漫画でもあります。
TDS』におけるさやマミと、同じテーゼが正反対の状況から描かれている、まるでコインの表裏のような作品である――。
それこそが、『愚者と偶像』を『TDS』と併せて読んでいただきたい理由なのです。

勿論、『愚者と偶像』は『TDS』と無関係に(『TDS』より発表はずっと早いので当然なのですが)それ単独で面白いまどマギ二次創作作品です。
本編や書籍、PSP版など様々な資料を読み込んでいることが分るさやかの戦闘シーンをはじめとして、細かい小物や仕種から伝わってくるキャラクターへの愛情は大変に魅力的であり、特に巴マミの強さへの独自の解釈、元々の才能なのかと問うさやかに対して「偏に彼女の努力の証だよ」だとキュゥべえが語って聞かせる様はキュゥマミスキー必見、設定に拘る向きにもいい刺激になること請け合いです。紙媒体の漫画ならではの仕掛けも施されており、個人的に非常にお気に入りの一遍です。

ただ、ブルーハワイレモネードは夏コミ合わせの本であり、書店委託も終了していますので現在は入手できません(汗)。
が、のりのり製菓さんでは残部を冬コミで頒布する予定もあるとのことですので、機会がありましたら是非に。





尚、様々な部分で対照的な2作品ですが偶然か必然か、ところどころで対話になっているようなシーンが見られたりもします。
 
↑『愚者と偶像』でさやかが聞きたかったことを『TDS』で答えるマミさん…と思うと感慨深いのですよ…↑

以下、その辺も含めたネタバレ全開での呟きとなります。
TDS』でマミさんが持ってるのがスマフォっていうのも『愚者と偶像』考えるとそれだけで泣ける。中にはきっと2人で撮ったプリが…とか。
『愚者と偶像』が影の魔女戦で終わりになってるのが、『TDS』だとそこにマミさんが助けに来るとかもうね……いや、本編準拠で考えるとどちらもそうなるしかないのも確かなのですが、それでもやっぱり物凄い嬉しかったし、それだけにその後が…。

発表時期や作者さん同士がTwitterの相互フォロワーであることなどを考えると、ひょっとしたら本当に紙上アンサーなのかもしれませんね?^^