猫目石
ケータイにJUNちゃよりメール。
『久しぶり。栗本薫、亡くなったって――』
JUNとは中学のときに古本屋巡りをして。
そんとき俺がひたすらグイン・サーガを買い集めていたのだよね。
JUNにも薦めて二人で読んで。
思えば当時出ていた三十数巻を夏休みで読破して、追いついて、紀伊国屋で新刊で買うようになったのが人生の決定的な踏み外しの一歩だった気がしないでもない。
グイン、天狼星、仮面舞踏会、猫目石。
すべてを追いかけていたわけではないけれど、グイン・サーガと伊集院大介のシリーズは本当に好きだった。
血の匂いを漂わせる、僕の少女――
猫目石のあの一節は今も忘れないし、「終わらない物語」を志向して始められたグイン・サーガという存在そのものに与えられた影響も計り知れない。
今、グインは本当に終わらない物語になってしまったのか。
そうか。
――黙祷。