魔法少女まどか☆マギカSS「F=mrω^2」

杏子「というわけで原付買ったぜ」
さやか「どういうわけなんだぜ…」
杏子「ツーリング行こうぜ」
さやか「いや私バイク持ってないし」
杏子「あたしの後ろに乗ればいいんだよ! しっかり捕まりやがれ」
さやか「ちょ、だから節棍化した槍で人を掴むなと何度ryギャー!!」


杏子ごういんぐマイウェイ



杏子「なー、風気持ちいーだろー、ちょっと試してみたらやたらハマっちゃってさー」
さやか「まぁ、確かに悪くはないかもね。海岸線の夕焼けとかちょっと感動しちゃったし…」
杏子「一緒に見たかったんだ」
さやか「あ、ありがと……」
杏子「へへっ…んじゃあ仕上げいくか! ハングオンだ!!」
さやか「まてなんだそれ怖いってば!! きゃあああああ!!!!!???」


(原付二人乗りそしてクラッシュ)



さやか「ま、魔法少女じゃなかったら死んでいたわ……いやもう死んでんだたっけ、アハ、アハハハハハ」
杏子「なんだよさやかー、ノリ悪ーなー、『魔女宅』見たことねーのかよー。トンボの後ろのキキを見習え、キキをー」
さやか「わかった。魔女になればいいのね」
杏子「鬼気じゃねーよ!? キキ! シャレになんねーんだよおめーのそれは!」


まどか「いいなー、楽しそうだね、二人とも。でもなんでバイクの二人乗りのカーブってあんな難しそうのかな?」
ほむら「そうね……。じゃあ実地でレクチャーするわ。さあ、まどか、しっかり捕まって」
まどか「ほむらちゃんこの原付バイク一体どこから…へえ、Dioって言うんだ…ううん、いい、わかった」
ほむら「理解が早くて助かるわ」
まどか「でも原付で二人乗りはさっきの二人見ても危ないと思うよ…。法律違反だし」
ほむら「これならどうかしら。NRV-588のタンデム仕様よ」
まどか「これ、……ううん、二人乗りできるようになってるなら、いいのかな」
ほむら「さあ、しっかり私に捕まって
まどか「うんしっかり掴まるね!」
ほむら「タンデムは前のライダー(私)と身体を一体化するくらいのつもりで密着しないと危険よ! 杏子とさやかみたいに反発しあっていてはダメなの。さあ、さあ、もっとギュッと」
まどか「こ、このくらい?」
ほむら「も、もっとよ! そう。そ、あああ、あたってるのがわかるわハァハァ」
まどか「ご、ごめん、強過ぎたね。苦しかった?」
ほむら「問題ないわ…今の調子でしがみついていてねハァハァ」
まどか「だ、大丈夫なのかな…」
ほむら「問題ないわ。……行きましょう」
まどか「ひゃわ!? あれ、なんか走り出しはゆっくりな感じ…?」
ほむら「タンデムは通常とは重量や重心が異なるから発進や加速は重たくなるわね。ブレーキの制動距離も長くなるわ」
まどか「でも走り出すとなんだろ、慣性っていうのかな。独特で気持ちいいかも…」
ほむら「ふ…ハァハァ、ふふ、そう言って貰えると誘った甲斐もあって嬉しいわ。そしてコーナリング、二人の協同作業よ!
まどか「きゃ、地面が近い!?」
ほむら「怖がらないで! カーブと逆の方向に身体を傾けると…」
まどか「わわわ、ま、曲がらない!? 外側にひっぱられてる!」
ほむら「怖いからって外を向こうとするまどかが引っ張っているのよ! それだと余計にひっぱられる! それじゃ美樹さやかの二の舞よ! 恐怖から逃げないでまどか!!」
まどか「そ、そんな、さやかちゃんも失敗したのに……無理だよ、怖いよ!」
ほむら「私を信じて!! 私と同じ方向を見て!!」
まどか「……わ、わかったよ! ほむらちゃんがそう言うなら…」
ほむら「ありがとうまどか! さあ、突っ込むわよ!」
まどか「うん! あ…内側に身体を傾けると…曲がる……ああ! 分かった! 映画でキキがやってたのこれなんだね!」
ほむら「そうよ! これが…ハングオンよ!」


無事に帰還。



まどか「すごい! 風になったみたいだったよ! ほむらちゃん、バイクってすごいね!」
ほむら「そうね。私もまどかと一緒に風になれたようで嬉しかったわ。……まどか、風になるときは、私を置いて行かないでね」
まどか「え、最後の方、良く聞こえなかったけど…」杏子「なんだお前ら、すげえバイク乗ってんなー!」
さやか「せめて私もタンデムシートついたバイクに誘って欲しかったわ…」
杏子「え、じゃあ今度そういうのにするわ」
さやか「いや、いいわ」
杏子「え……、そりゃ最後、失敗はしたけどさ、そんなに嫌…だった、か?」
さやか「……今度バイク買うから」
杏子「へ…へへ、いいぜ、じゃあ今度は勝負な! 何人たりとも俺の前は走らせねえぜ!?」
さやか「受けて立つ!!」
まどか「あはは、その時は私達も誘ってね」


マミさん「(サイドカーキュゥべえ乗せて、お揃いのゴーグルとか…いいんじゃないかしら)」
キュゥべえ「(またなんか変なこと思いついて僕を巻き込む気だね、マミ…)」


まどか「それで結局、バイクの二人乗りのカーブの難しさって、あの曲がるときの身体の傾きで引っ張られるようなあの力、でいいんだよね?」
ほむら「ええ。F=mrω^2 遠心力。回転運動の際に働く慣性の力ね」
まどか「ほむらちゃんはやっぱり頭いいね、物知りだねー」
ほむら「それほどでもないわ(*'-'*)」
マミさん「バケツに水を入れて振り回すと水が落ちてこないのと同じ原理よ」
まどか「あ、それはなんかやったことある! 不思議だよねー」
杏子「それなら私も分かるなー。あー、道理でな。円の動きか…危うく私たち導かれるとこだったわけだ」
さやか「私一回導かれてるからねー。トラウマなってるのかなー」


ほむら「…あなた達、遠心力と円環の理は違うわよ」


杏子・さやか「えっ?」
マミさん「えっ?」