まどマギSS『世界で一番綺麗な名前』[アニメ][魔まマ][二次創作][パロディ][SS]

QB「何を見てるんだい、マミ?」
マミ「メールよ、友達からの」
QB「例の、君がマジュウから助けた女の子かい?」
マミ「あら、彼女、もう女の子って年齢でもないのよ? もう結婚して、今度、子供が産まれるんですって」
QB「そうか、人間の成長は早いんだったね。君とずっと一緒にいるせいもあって、つい忘れてしまったよ」
マミ「もうずっと会ってないのに――あんなに熱心に誘われた結婚式にも行かなかったのに、こうしてずっとメールをくれるのよ、彼女。ありがたいけれど、申し訳ない気分にもなるわね」
QB「仕方がないよ。もう君たちが出会ってから10年以上の時間が経っているんだ。その当時とさほど変わらない君の姿は、きっと彼女の精神に小さくない影響を与えるだろうからね」
マミ「……そうね。…ねえキュゥべえ、私って子供、産めるのかな?」
QB「前例がないからなんとも言えないね。君たちは長い魔法少女の歴史の中でも初めてのケースだ。なんなら試してみ…痛いよ! 急に何をするんだい!?」
マミ「……いつになったらあなたはデリカシーという概念を覚えてくれるのかしらね!?」
QB「君といい、もう一人といい、どうして僕に時折、突発的な暴力を振るうんだい!? わけがわからないよ…もしかしてそれがイレギュラーの条件なのかな…?」
マミ「あなた、私たち以外の魔法少女にも随分とセクハラして殴られていたような気がするけど?」
QB「そんなのは長いインキュベーター魔法少女の歴史の中では極めて稀だよ…ああ、でも君たち以外にも確かに僕をよく殴る子がいたね。君と共通する時間を過ごした相手だと、佐倉杏子とか…」
マミ「…美樹さんも佐倉さんも、円環の理に導かれて随分経つわね」
QB「それも10年くらい前の話になるね」
マミ「色んなことがあったわね。時間、経ったのね。それこそ、あの時知り合った後輩の女の子が、ちゃんと男の子を好きになって、結婚して、子供を産むくらいに…」
QB「一時は君と添い遂げると言って聞かなかったのにね」
マミ「…あれも大変だったわね。今思えば楽しかったけれど」
QB「僕には君のその感想を含めて、何から何までわけがわからないけどね…」
マミ「ねえキュゥべえ、あの子の子供、女の子なんですって」
QB「へえ、才能があれば勧誘…痛い、またぶった!?」
マミ「ごめんなさい、つい。……でもその時は、私たちのことも全部話して、その上でその子が本当に望むときだけにしてね?」
QB「わかってるよ。僕たちにだってその方が色々と都合がいいし、やりやすいしね?」
マミ「……ありがとう。…ねえキュゥべえ、あの子ね、私に娘の名前を決めて欲しいんですって」
QB「へえ、おめでとう。それは、君たち人間にとっては名誉なことなんだろう?」
マミ「そうね……。でも私なんかでいいのかしら」
QB「彼女が望むんだから、それはそうだろう。断る方が悲しむんじゃないかい、あの女の子なら」
マミ「どんな名前をつけてあげればいいのかしら、ね?」
QB「君に託されたんだ。なら、君がいいと、綺麗だと思う名前でいいんじゃないかな? 依頼、委託というのはそういうものだよ」
マミ「私がいいと思う名前か……」
QB「参考までに君に近似の事例を言うと、君の後輩に上条恭介・仁美の夫妻がいるけれど、一ヶ月ほど前に彼と彼女の間にも娘が生まれて、さやか、と名付けたそうだよ」
マミ「なんでそんなことを貴方が知っているのかしら…。でも、それは……良い話を聞かせてもらったわ」
QB「参考になりそうかい?」
マミ「ええ。そのさやかちゃんと同じくらいに綺麗な、世界で一番素敵な名前を知っていたのを思い出したわ」

***

ほむら「それで、巴マミは『杏子』という名前を贈ったと……彼女らしいわね」
QB「どうして君たちはそんなに名前になんか拘るんだい?」
ほむら「さてね」
QB「君が今、そんな風に嬉しそうなのもそのせいなんだろう?」
ほむら「否定はしないわ」
QB「『まどか』か。ただの偶然じゃないのかなぁ?」
ほむら「そうだとしても、あの家に、あの家族の中に彼女の名前があるというのは私と、きっと彼女には意味のあることだわ。タッくんには感謝しないとね?」
QB「……さっぱりわけがわからないよ、君たちは」