もぺっとさんこと、飯田雪子さんの『夏空に、きみと見た夢』という本がある。
主人公が置かれた状況はかつて自分が遭遇した状況に少し重なっていて、しかし経過や結果が自分には起こりえないもので、なんとも言えない気分で読んだ本だ。


3月1日に降る雪を見ると、この本のことを思い出す。
別れるために会いに行ったのが、最初で最後。


自分がそこにいる意味、いた意味を今も惑う。
彼女の一週間前に同じように去っていった彼のことが混じり合っている。
知ったのが彼女に会いに行った後だったことできっと余計に混乱している。
夏に会った彼の家族、彼女らが遺そうとした本のこと。
渡された図書カード。何を買えばいいのか。
彼や彼女が去ったと同時期に家族を亡くした友人。
自分のことは語らず、ただ俺の混乱を聞いてくれた彼に今は声が届かない。
なにをやっているのか、なにをすればいいのか、よくわからない。


一人で雪を見ているとぐるぐるするばかりだけど、今日は一人、雪を見る。


…ケータイを忘れてきたのも、無意識に一人になりたかったからなのかね。<そんな格好いいものではあるまい




明日は雪を踏んで歩こう。
もぺっとさんの別の本を読んでみよう。
カッターかjesちん誘って飯でも食いにいこう。馬鹿な話をしよう。
俺も幸せに向かおう。向かいたい。<いや、具体的な予定は何一つないけれど。