再見

相棒、撤収の日。
14日ですでに任は解かれており、最後の挨拶に来たのがこの日だった。
14日の最後のミーティングでは何事もなく、餞別を渡したときも笑顔ではあった。
しかしこの日、彼女がもういない15日の自分の背中があまりにさびしかったことを笑いながら伝えたら、変なこというなと怒られながら、泣かれた。
気がついたら、俺も泣いていた。すてプリ最終回のシャノン状態。というか俺、泣けたんだな。
向かい合って泣いている二人を見て「どうしようかと思った」と後で言われたが、俺ら二人だけが泣いていたあたりがこの戦場での数ヶ月を象徴しているような気がする。
「結婚して、二人で残ってくれればいいのに」
そんなことも言われたが、2人とも照れもなく、否定。
毎日のように一緒にスーパーで買い物をしたり、メールや電話をしたり、クリスマスに部屋にケーキを持ってこられたりしたときは、まぁ、色々と考えないでもなかったが、何度かのぶつかり合いを経て、結局、戦友としてのみの関係は変わらず。
熱い彼女と、適度に諦めている俺はまぁ、いいコンビであったろうと思う。
最後はシェイクハンド。それはいつものごとくで自分でそう決めていた。
けれど自分から差し出そうとしたのに、先に手は差し出されていた。
悪くない。そう思った。