これhttp://togetter.com/li/292196のプロローグとかプロット的なもの(3周目分岐キュゥマミ殺し愛)

「…マミさんっ」

 その言葉を発しなかったら、殺されてあげられたのに。
 けれど彼女は声を放った。私の名前を呼んだ。
 それに反応したからこそ、私は彼女の射った矢をすんでのところで避けられたのだし、反射的に手にしたマスケット銃の慣れ親しんだ引鉄も引いてしまったのだろう。

「鹿目さん、鹿目さん! まどか……まどかァ――!!」

 私のリボンに拘束された暁美さんが倒れた彼女の名前を叫び続けている。こめかみから流れ落ちる血にくらくらする頭にその金切り声は酷く響いた。頭を振ると、顔から滑り落ちた血の雫が、鹿目さんの身体から広がっていく血溜まりに、ぽちゃりと落ちて、混ざった。多分、鹿目さんは、助からない。

「どうして――」

 なんで私の名前を呼んだの? 問いかけようとしたけれど、ひゅー、ひゅーという音と血しか出てこない彼女の口を見て私は押し黙る。仮に話せたとしても、半狂乱で叫び続ける暁美さんに邪魔されてまともな話はできないだろうとも思った。テレパスを飛ばす。

この後この巴マミはまどかの遺言を聞いた後、暁美ほむらが魔女化する様を冷静に観察した後で殺し、彼女のグリーフシードを手に入れる。
その後、魔女と魔法少女インキュベーターの全てを狩るものとして戦い続ける道を歩むことになる。

QB「代わりはいくらでもいるんだけどなぁ」
マミ「無限ではないのでしょう? そんなことが可能ならエントロピーだのエネルギーなんて話にはならないものね。なら最後の一体になるまで一つ一つ潰すだけよ」
QB「ここにいる僕らは尖兵のようなもので、狩り尽くしてもまた新しい僕らが送られてくるだけだよ。星の海を超えてね。君には宇宙は超えられない」
マミ「私の本体はこのソウルジェムで、身体は外付けのハードウェアなのでしょう? ならそこまで行ける貴方の身体をハードウェアにも出来るわね?」

マミはビデオゲームの『レリクス』や『ファンタズム』のように身体と能力を入れ換えて地球上の魔女と魔法少女インキュベーターを刈り続ける。織莉子との利害関係の一致からの共闘と訣別を始めとする多くの出会いと別れと殺害を繰り返し、彼女の繋ぐリボンの魔法は『かずみ☆マギカ』で言うところの「コネクト」としての魔法としての特質も手に入れ、星の彼方のインキュベーターやそれを送り出した者達全ての殲滅という途方も無い夢を目指し、遂には最後のインキュベーターの元へと辿り着く。

QB「やっぱり君が一番優秀だったね、巴マミ
マミ「確かめようのないことね。他の魔法少女は皆、死ぬか魔女になるかして、もういないもの。才能なら、鹿目さんが一番だったんじゃなくて?」
QB「だからさ。生き延びているだろう? それが何よりも優れた存在であるという証左さ。それに」


ここらへん、やまむらはじめの『龍哭譚紀行』のオマージュ。


QB「それに、他人事のように言っているけれど、死んだ魔法少女の多くは君が殺したんだろう、マミ。鹿目まどかだって…」
マミ「だから私はここにいる。誓いの通りに全ての魔女を消し去る。生まれる前の魔女も、それを孵化させる貴方も、全て」


まどかの遺言はそういうものだった、らしい。


QB「自分自身もかい?」
マミ「そうよ。全ての魔女を消し去り、羽化する前の魔法少女全員を刈り、貴方を殺し尽くし、最後に私自身のソウルジェムを撃ち抜くわ」
QB「言わば君は、魔法少女として生存競争の頂点に立つわけだ。なのに自死を選ぼうとする。まったくわけがわからないよ」
マミ「わからなくていいわ」
QB「わからないと言えばもう一つ。君は膨大な数の魔法を編み出しそれによってここまで来たわけど、消費した魔力は莫大過ぎるものだ。倒した魔女から得たグリーフシードだけで賄いきれるとは思えない。いくら君たちが条理を覆すとはいえ」
マミ「貴方と敵対したのよ。濁りを溜めきったグリーフシードは私の手元に残り、魔女になり、倒されて再びグリーフシードに戻る。その無限循環だわ」
QB「それを編み出したのは随分と後になってからだったろう? 「コネクト」の魔法を身に着けてからだ。僕らの予想と計算はそれ以前に君が朽ち果てると――」
マミ「あなた、グリーフシードって、一つ一つ違うって知ってた?」
QB「それはどういう意味だい?」
マミ「私を殺せたらグリーフシードを奪って調べてみるといいわ」
QB「叶いそうにもないねそれは」
マミ「叶えさせもしないわ。でも私の願い事は聞いてもらうわよ」
QB「叶うことならね。君にはその権利がある。……そうか。君と初めて会った時にもこう聞いたのか僕は。『君は何を願うんだい? 巴マミ』」


問われてマミは静かに願いを言う。


マミ「一緒に死んでちょうだい、……キュゥべえ
QB「……懐かしい呼び名だね、マミ。いいさ、君は個体ではあるけれど、魔女や魔法少女だけでなく、種としてのインキュベーターすら滅ぼした勝者だ。僕は弱肉強食の理に従おう」


微笑いあう2人。
そして銃声が2つ鳴り響く。


エピローグ。
暁美ほむらが目を覚ます。
目の前には手を取り合った2つの死体がある。
まどか☆マギカ』OPの眠るキュゥべえ巴マミのカットそのままの2人の死体である。
朦朧とした頭で記憶を辿る。まどかが巴マミに殺されたのを思い出す。
ホムスピナーに手を伸ばす。
時間が巻き戻され、この物語は終わる。

巴マミが濁らず無限のように魔力を使えたのは、ホムリリィ、暁美ほむらのグリーフシードが手元にあったからである。彼女は喩え魔女化しグリーフシードになったとしても、目的を果たすまで時を遡りやり直し続ける(その為グリーフシードとなった時点では吸い取った濁りが自己浄化されていくように見える)のだった――という俺設定がオチである。